イ族2(雲南,元陽)イ族はチベットビルマ語系に属し、中国、ベトナム(ロロ族)、ラオス(ロロ族)に住む。中国のイ族の多くは雲南省に住み、そのほか四川省や貴州省、広西チワン族自治区にも住んでいる。彼らは彝(イ)文字と呼ばれる表音文字を持ち、一部の地域では近年まで奴隷制が残っていたことで知られている。 写真は雲南省南部の紅河ハニ族・イ族自治州、元陽(yuanyang)で撮ったイ族の女性。元陽周辺に住むイ族は、麗江(lijiang)周辺のイ族とは衣装が大きく異なり一見別の少数民族のように見える。 上衣は色鮮やかな(人工色的な)刺繍テープを胸元や腕の辺りに縫いつけたもので、下はスカートではなく黒っぽいズボンをはき、膝下から裾にかけては青い布を使っている。また、腰には四角い刺繍で飾った布と、ネクタイを大きくしたようなこれまた刺繍で飾った布を2枚下げているのが特徴。 民族衣装の下には既製の襟付き長袖シャツを着ており、ちょっと興ざめの感を否めないが現実とは実際そういうものなのだろう。 それでも元陽市内においてさへ未だ民族衣装着用率が高く、食堂で働く女の子とかでも民族衣装を着ていたりするのには心が和まされる。 元陽へは雲南省の省都昆明(kunming)からバスで7、8時間かかる。昆明駅近くのバスターミナルから出る直行便で料金は60元前後。 途中建水(jianshui)の町で昼食休憩。食後再びバスに乗り3時間ほどで紅河沿いの南砂(nansha)を通過し、南砂からは曲がりくねった険しい坂道を30ほど上ってようやく元陽到着となる。バスターミナル周辺の宿に値段交渉し2泊で50元(ツイン、トイレ・ホットシャワー付)で泊ることにする。 元陽(yuanyang)周辺は棚田で有名なこともあり、町は山の上部に位置している。山の上ということもあり朝晩は思っていたより肌寒い(日中は陽射しがキツイ)。 *2003年4月よりバスターミナルが町の中心から下の方に移動した。元陽到着時は上の広場周辺まで行くが、元陽から出発する時はメインロードを数百メートル下って行かなければならない。宿は広場に面した政府招待状のドミが1泊10~15元。旅館はトイレバス付で30、40元位から。 *元陽には外貨両替可能な銀行がないので事前に要両替。最悪の場合、広場近くの中国農業銀行でVISAのキャッシングが可能。 元陽(yuanyang)では、一見、イ族とハニ族の区別がつきにくいが、ズボンと後姿を確認すればその違いが容易に気づくだろう。右の写真のようにズボンの膝下が青く、腰から大きな刺繍を施した布を2枚下げているのがイ族だ。 実はこの大きなネクタイ状の刺繍布、定期マーケットの日に売られているのを見かけた。また上着の胸元や腕の辺りを飾る刺繍は専門の刺繍テープ屋というものが存在する。これらの刺繍テープはこの辺りでは民族の別無く利用されており、上着だけではどの民族か判別できないこともある。帽子はイ族とハニ族で異なるが、普段は帽子の上に厚手のスカーフ(赤いチェック柄が多い)を巻いていることがよくある。 彼女達が着用している民族衣装は、実際どの程度自分達の手作りなのかは不明だが、既成の刺繍テープが結構利用されているように思えた。 |